《犬の理学療法士 仲平先生監修》パテラの子へのマッサージ·エクササイズなどのケア方法 《犬の理学療法士 仲平先生監修》パテラの子へのマッサージ·エクササイズなどのケア方法

犬のしつけ・お手入れ

《犬の理学療法士 仲平先生監修》パテラの子へのマッサージ·エクササイズなどのケア方法

1回目の「犬の体について」で書いたように、四足動物のわんちゃんと二足直立歩行の人間とは一見構造が違うように見えますが、前肢に肩関節・肘関節・手首、後肢に股関節・膝関節・足首と、わんちゃんも人も同じ数の関節があり、実は結構似ているところが多いです。

では、質問です。

関節が何であるか定義ができますか?

私は、犬の身体のことを学ぶまでは漠然として言葉で表すことはできなかったです。

関節とは骨と骨が連結する部分のことをいいます。

別々の骨のつなぎ目である関節が動くことで体を動かすことができるのです。

そして、その関節を動かすのが筋肉で、指令を出しているのが神経です。

骨、関節、筋肉、神経、これらが連携することで私たちもわんちゃんも歩いたり、走ったり、座ったりと、いろんな動きをすることができるのです。

 

膝蓋骨脱臼(パテラ)とは

今回は、関節の中でも、わんちゃんで問題になりやすい膝蓋骨脱臼(パテラ)を考えていきましょう。

パテラとは、膝蓋骨が大腿骨(太ももの骨)にある滑車溝から外れてしまうことを言います。
つまり本来あるはずの場所からずれてしまう状態のことです。
膝蓋骨は人にもあります。
いわゆる”膝の皿”と呼ばれる小さな骨で、膝を曲げると上へ上がり、伸ばすと下に下がります。
試しに、自分の膝に手を当てて膝の曲げ伸ばしをしてみてください。
骨の動きが感じられると思います。

パテラは特に小型犬と暮らす飼い主さんが心配することが多いと思いますが、人間や大型犬がパテラで悩むことがあまりないのはなぜでしょう。
理由のひとつは、身体の大きさにあります。
チワワやトイプードル、ポメラニアン、ヨークシャテリアなどパテラで悩むことが多い犬種は身体が小さく、当然骨も細いです。
骨自体が細いため、膝蓋骨がはまる滑車溝も浅く外れやすいのです。

生前12kg程度だったわんちゃんの骨を触らせていただいたことがあるのですが、大腿骨は直径約1.5cm、付け根あたりの一番太い箇所でも2cm弱でした。
もちろん、個体差はありますが、単純に体重で計算してみれば3kg程度のトイプードルならば、大腿骨のサイズは割り箸程度ではないかと推測されます。
そうなると、滑車溝も浅くなり膝の曲げ伸ばしで上下に動く膝蓋骨が外れやすくなるのも理解できます。

膝関節は、十字靭帯2本、側副靭帯が外と内側に1本ずつ、膝蓋靭帯が1本と計5本の靭帯で守られているので、これらの靭帯がしっかりしていれば、例え外れたとしてもすぐに歩けなくなるわけではありません
ただし、痛みがあったり日常生活に支障があるわんちゃんは獣医師さんに相談し、手術など痛みを除去することも大事な選択肢だと思います。

今回の記事では、痛みがなく日常生活に支障がない子に向けた筋トレなどのリハビリやマッサージ、ケアの仕方を書かせていただきます。

 

わんちゃんがパテラになったら、何が起こるのか

まず、わんちゃんがパテラになったら、何が起こるのか考えてみましょう。

膝蓋骨が外れると、内方脱臼と言ってつま先が内側にねじれることが多く、小型犬ではその割合が8割と言われています。
膝蓋骨が外れると関節面がずれてしまうので膝が曲げ伸ばししにくくなり、足を曲げずにツンツンと跳ねるように歩いたり足を外側から内側へ回しながら歩いたりするようになります。

なぜこのような歩き方をするようになるのでしょうか?
膝を曲げずに歩いたら、どんな不都合があるのか想像してみましょう。
私たち人間も膝を曲げずに歩くとどうなりますか?

……そうです、つま先を地面に擦ってしまいますね。
足を曲げないで歩くと擦ってしまうので、それを避けるために膝を”曲げる”という方法以外の解決策をわんちゃんなりに工夫しているのです。
ツンツンとジャンプするように歩くとふくらはぎの筋肉をよく使うため過負荷になってしまいます。
また、膝をかばってその足にあまり体重をかけずに歩くことで、身体の他の部位に負担をかけバランスが崩れる可能性も大いにあります。
例えば、左側がパテラになると右側に体重をかけるので右後肢への負担が大きくなるといった具合です。
後肢が使いづらいと前肢を頼るようになるのも大きな問題です。

1回目の記事で述べたように、わんちゃんはそもそも前足荷重で、おおよそ7:3で体重を支えていると言われています。
つまり、10kgの体重のわんちゃんであれば、7kg分は前肢で3kg分は後肢で支えているのです。
後肢がうまく使えなくなることにより、バランスが7.5対2.5、8対2になってしまったら、身体のバランスを著しく欠いてしまうことは想像できますね。

このように、パテラを起因とする身体の他の部位への負担があるということもぜひ理解していただきたいです。

 

パテラの子へのケア方法

では、ここからはパテラの子へのマッサージやストレッチ、エクササイズなどのケア方法について書いていきます。

先天的な溝の浅さはどうすることもできませんが、膝蓋骨靭帯に付着している筋肉や近隣の筋肉をつけることで、脱臼しづらくすることはできます

外れにくくするために付けたい筋肉は、特に前ももの筋肉です。

通常、わんちゃんは空気椅子状態で立っており、少し膝を曲げています。

一方でパテラの子は、膝を伸ばした格好で立ち、ツンツンと膝を曲げずに歩くので、使うはずの筋肉が使えていません

つまり、それらの筋肉は衰えている可能性が大きいです。

そして、前ももの筋肉の延長線上に膝蓋骨があるので、前ももを鍛えておくことは膝蓋骨を外れにくくすることにつながります。

筋肉をつけるためには、足を持ち上げ、足を曲げ伸ばしし、しっかりと足全体を使うことが大事になります。

 

公園・山道・砂浜などのお散歩で筋肉をつける

平坦で整備されたアスファルトの道は、足を曲げる必要がなく楽に歩けてしまいます。

一方、木の根っこがあったり枯れ葉が落ちていたり土が凸凹していたりする公園山道では、足をあげて歩くようになります。

歩く時に足が沈み込む砂浜などもおすすめです。

雨の日など外を歩けない日は、お布団の上を歩かせるのもいいでしょう。

不安定な場所で足をしっかりと使って歩くことが、筋肉をつけることに繋がります。

 

生活環境の整備と体重管理

滑りやすいフローリングや体重の増加は、それだけで膝への負担が増えてしまいます。

フローリングにカーペットを敷くなど生活環境を整備すること、適切な体重を維持できるよう管理することも大切な対策です。

 

温めて血行を良くする

その他、有効なケア方法は、温めることです。

関節は関節包によって包まれていて、内側は滑液で満たされています。

曲げ伸ばしにより熱が発生する関節を、滑液が冷ます役割を担っているのです。

膝関節は大きい関節なので、関節液が多く冷えやすい場所と言えます。

試しに、自分の膝を触ってみてください。他の場所と比べてみると冷えていませんか?

冷えると血管が収縮してしまい、血が通わず栄養がうまく行き届きません。

そうなると靭帯や軟骨が破れやすくなってしまいます。

温灸やホットパックで膝の下あたりを10分程度毎日温め、血の循環を良くすることで再生が促されます。

 

更にいうと、温めることは、サプリメントなどの有効成分を届けやすくすることにもつながります

関節に良いとされるサプリメントやフードなどもたくさんあり、効果は期待できると思います。

ただし、ただ飲んでいるだけでは十分にサプリメントの作用を活かしきれていないかもしれません。

血行不良があると有効成分が必要なところに届かないからです。

栄養成分を効率よく取り入れるには、温灸やホットパック、マッサージなどでよく温め血行を良くましょう。

 

お散歩前のマッサージも大切

お散歩に行くこと自体が血の巡りをよくすることにつながるので、そういった意味でもお散歩は大事になります。

しかし、身体が冷えていたり、硬くなっていたりする状態で運動すると、動きづらく怪我をしやすくなってしまいます

そのため、お散歩前にマッサージをし、身体をほぐしてから出かけるのがおすすめです。

この場合のマッサージは人で言うところの準備体操です。

また、動かした後やお散歩後には1分程度アイシングをし、寝る前には温めるケアを取り入れてあげるのも効果的です。

 

お散歩前に取り入れたいマッサージ

1.腰周り、腿周り、足の指

  • 腰周り
    骨盤の頭側と尻尾側を前後にこするように優しくマッサージしてください。
  • 腿周り
    腿の周りを優しく前後にマッサージ
    してください。
    腿の前側、腿裏や膝周りをさするような感じで腿全体をほぐしてください。
    一度に腿全体をほぐそうとするよりも、前側、裏側、膝周りというように、部分部分でほぐす方が手が動かしやすいです。
  • 足の指
    足の指一本一本を挟み、つまむようにマッサージしてみましょう。
    一本一本反らしたり、曲げたり、捻るような動きも取り入れると指先まで使いやすい状態になります。
    反らしたり、曲げたりするときは無理な力を入れず、ゆっくりと指を動かしましょう。

 

2.肩甲骨周りのストレッチ

後肢が使いづらいとどうしても前肢に頼りがちになります。

過負荷となる肩甲骨周りをほぐしてあげることはとても大事です。

  1. 肘関節と手根関節(手首)を折りたたみ、腕全体を包むように持ちます
    先端を持つのではなく体幹に近いところを持つことが大事です。
  2. そのまま時計回り反時計回りに回します。

回転円周が最大となるように回すのがコツです。

また、無理に引っ張ったり押したりはしないでください。

わんちゃんが嫌がる時は、無理をせずすぐに手を離しましょう

このストレッチの前に、下記の記事で書いた首周りや肩甲骨のマッサージを先にして、緩ませてからストレッチをすることがおすすめです。

《犬の理学療法士 仲平先生監修》犬の体について

 

まとめ

例えパテラだとしても、筋トレをし膝を外れにくくすることで、日々を過ごしやすくすることはできます。

脱臼をかばうのではなく、脱臼のある膝にも体重をかけて身体全体を使える状態にすることが、怪我予防に、延いては愛犬の健やかさにも繋がります

そのために、運動前にマッサージや温熱法で体をゆるめ身体を動かしやすい状態にしてあげることはとても大事です。

愛犬がいつまでも自分の足で立ち上がり、歩ける身体作りのためにも、今日からぜひ実践してみてください!

この記事の監修者

  • 仲平佐保

    犬の理学療法インストラクター師範・犬の食事療法インストラクター師範・犬の整体師・動物経絡温灸取扱者

    仲平佐保

    【2021年】
    ● 一般社団法人 犬猫の食と自然医療の学校 犬の理学療法インストラクター師範
    【2022年】
    ● 一般社団法人 犬猫の食と自然医療の学校 犬の食事療法インストラクター師範
    【2023年】
    ● 犬の整体研究所 犬の整体師
    【2024年】
    ● 一般社団法人 犬猫の食と自然医療の学校 犬猫のための刺さない経絡鍼講座 終了
    ● 一般社団法人 犬猫の食と自然医療の学校 犬の内臓リハビリテーションインストラクター師範講座 終了
    ● 動物経絡温灸取扱者取得
    ● その他ドッグマッサージ、リハビリテーション、お灸、推拿など受講

    先代犬がお水を飲まなくなったことをきっかけに、手作りご飯をスタート。
    その後、理学療法や食事療法を学ぶ。学術的な学びはもちろん、一番の気づきは獣医さんが治せないことも飼い主さんなら治せるということ。
    現在はmirukaraで愛犬家の飼い主力を高める講座や施術会を開催しています。

    https://mirukara.pro/

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