犬のワクチンの種類や病気との関連性を分かりやすく解説! 犬のワクチンの種類や病気との関連性を分かりやすく解説!

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犬のワクチンの種類や病気との関連性を分かりやすく解説!

愛犬をワクチン接種のために病院に連れて行った飼い主の皆様は、犬のワクチンの種類の多さに悩まれたことはありませんか?今回は「本当に複数のワクチン接種は必要?」そういった疑問を抱いている飼い主様の為に、犬のワクチンの種類や病気との関連性を分かりやすく解説していきます。

ありすぎて分からない方に!犬のワクチンの種類と違い

愛犬に接種させるワクチンには任意のものと、法律により飼い主様に義務付けられたものの2種類があります。まずは飼い主様に義務付けられた『狂犬病のワクチン』から説明していきます。

接種が義務付けられている狂犬病のワクチン

狂犬病は発症した場合、100%の確率で死に至る病気です。症状は主に筋肉のけいれんや呼吸困難、麻痺などを起こして約3日~5日で死に至るとされます。日本では1956年以降、狂犬病の発症例はありませんが、海外では未だに狂犬病が猛威を振るっています。狂犬病の病原菌は、人や犬のみならず全ての哺乳類に感染するため、海外から運ばれるハムスターやコウモリなども狂犬病の病原菌を保持している場合があり、再び日本に狂犬病を運んできてしまう可能性があるということです。

1950年に制定された狂犬病予防法とは、飼い主が所有する生後3か月以降の、全ての愛犬達に、「年に1回、4月~6月までに」狂犬病予防注射を受け、愛犬が「狂犬病予防注射済み」である事を役所や保健所などに登録することが義務とされた法律です。
違反した場合、20万円以下の罰金が飼い主に科されるとされますが、愛犬が狂犬病ワクチンによる副作用の経験がある場合や、重い心不全や腎不全を患う場合、愛犬の回復を待って、狂犬病ワクチンを受けることが認められています。

接種が任意の混合ワクチン

現在、10種類の混合ワクチンが開発されており、混合ワクチンの接種は全て飼い主様の任意です。全10種類の混合ワクチンでは含まれるワクチンの種類ごとに予防できる病気が違いますので、こちらも併せてご覧ください。

2種混合ワクチン
ジステンパーウイルス感染症、犬パルボウイルス感染症

3種混合ワクチン
ジステンパーウイルス感染症、犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型感染症)、犬伝染性喉頭気管炎(アデノウイルス2型感染症)

4種混合ワクチン
ジステンパーウイルス感染症、犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型感染症)、犬伝染性喉頭気管炎(アデノウイルス2型感染症)、犬パラインフルエンザ感染症

5種混合ワクチン
ジステンパーウイルス感染症、犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型感染症)、犬伝染性喉頭気管炎(アデノウイルス2型感染症)、犬パラインフルエンザ感染症、パルボウイルス感染症

6種混合ワクチン
5種混合ワクチンに加え、犬コロナウイルス感染症

7種混合ワクチン
5種混合ワクチンに加え、犬レプトスピラ感染症(コペンハーゲニー型)、犬レプトスピラ感染症(カニコーラ型)

8種混合ワクチン
6種混合ワクチンに加え、犬レプトスピラ感染症(コペンハーゲニー型)、犬レプトスピラ感染症(カニコーラ型)

9種混合ワクチン
8種混合ワクチンに加え、犬コロナウイルス感染症、犬レプトスピラ感染症(コペンハーゲニー型)、犬レプトスピラ感染症(カニコーラ型)、犬レプトスピラ感染症(ヘブドマディス型)

10種混合ワクチン
9種混合ワクチンに加え、犬コロナウイルス感染症、犬レプトスピラ感染症(コペンハーゲニー型)、犬レプトスピラ感染症(カニコーラ型)、犬レプトスピラ感染症(ヘブドマディス型)、犬レプトスピラ感染症(オータムナリス型)

11種混合ワクチン
10種混合ワクチンに加え、犬レプトスピラ感染症(オーストラリス型)

※製薬メーカーや動物病院によって内訳が異なる場合がございます。

混合ワクチンの副作用にご注意

6種混合ワクチン以降は、同じ病名でも複数ある犬レプトスピラ感染症の中から、特定の犬レプトスピラ感染症を予防するワクチンが1種類ずつ追加されます。勿論、複数のワクチンを接種することで、より多くの病気から愛犬を守ることが出来ますが、ワクチンとは毒性を弱めた病原体を体内に入れることによって病気への抗体を作らせ、身体が病気に対しての免疫を付ける為に行うものです。

つまり、ワクチンの種類が多ければ多い程、愛犬の身体に負担をかけてしまうと言うことになります。そして、ごく稀にですがワクチンの接種後に起きる副作用で以下の症状が現れる場合があります。

・アナフィラキシーショック
・皮膚症状(皮膚が腫れる、痒がるなど)
・消化器症状(嘔吐、下痢)

特に、アレルギー体質のご愛犬の場合、複数のワクチン接種が不安な場合もある為、愛犬がアレルギーをお持ちの場合や愛犬の体調が優れない時は獣医師と相談の上、接種するワクチンを選択することが大切です。また、妊娠中や離乳の直前、超高齢犬の場合などは、ワクチン接種を行うことで身体の負担や精神的ストレスとなるので、まずはかかりつけの動物病院で獣医さんに相談するようにしてください。

混合ワクチンで予防できる病気

混合ワクチンで予防できる病気は以下の感染症です。

ジステンパーウイルス感染症

感染原因:感染した犬との接触、鼻水、唾液、排泄物との接触により感染します。

症状:初期症状は、風邪のような症状が見られますが、次第に痙攣や神経麻痺などの神経障害が現れるのが特徴です。重症の場合、激しい嘔吐、下痢を起こし、発熱、痙攣、全身の神経麻痺を起こすジステンパーウイルス感染症は、非常に致死率が高いといわれる感染症の一つです。

予防:ジステンパーウイルス感染症ワクチンは、10種類全ての混合ワクチンに含まれています。いずれかの混合ワクチンを打つことで予防が可能です。

犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型感染症)

感染原因:感染した犬の排泄物との接触により感染します。

症状:初期症状は腹痛を起こし、嘔吐や下痢のあと高熱を出して虚脱状態に陥ります。重症の場合、鼻水、高熱、下痢や嘔吐に加え、口の粘膜の充血と点状の出血、肝臓の腫脹が起こります。1歳以下の子犬の感染の場合、致死率は90%以上と非常に高く、12時間~24時間以内に死亡します。

予防:犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型感染症)ワクチンが含まれる、3種混合生ワクチン以降を、接種することで予防が可能です。

犬伝染性喉頭気管炎(アデノウイルス2型感染症)

感染原因:感染した犬のくしゃみや、唾液、咳などによる飛沫感染や接触感染により感染します。

症状:初期症状は咳や発熱、鼻水といった風邪のような症状が続きます。重症化すると気管支肺炎に進行する場合もあり、小さな子犬が感染した場合、死に至るケースがあります。

予防:犬伝染性喉頭気管炎(アデノウイルス2型感染症)ワクチンが含まれる、3種混合生ワクチン以降を接種することで予防が可能です。

犬パラインフルエンザ感染症

感染原因:感染した犬のくしゃみや、唾液、咳などによる飛沫感染や接触感染により感染します。

症状:初期症状は咳や発熱、鼻水といった風邪のような症状が続きます。他のウイルスや細菌との複合感染により重症化すると肺炎に進行して、死に至ることがあります。別名・ケンネルコフと呼ばれる感染症です。

予防:犬パラインフルエンザ感染症ワクチンが含まれる、4種混合ワクチン以降を、接種することで予防が可能です。

パルボウイルス感染症

感染原因:感染した犬の唾液や排泄物に触れる接触感染、また直接、接触しいていなくても空気感染する場合や、ウイルスが付着した衣服から愛犬に感染します。

症状:初期症状は、食欲不振、激しい嘔吐下痢です。重症化すると激しい嘔吐、下痢(トマトジュースの様な血便)、を繰り返し重度の脱水症状が起こります。また感染力が強いのも特徴で子犬が感染した場合、短時間で突然死することが多く、致死率が非常に高い危険な感染症です。

予防:パルボウイルス感染症ワクチンが含まれる、5種混合ワクチン以降を接種することで予防が可能です。

犬コロナウイルス感染症

感染原因:感染した犬の排泄物との接触により感染します。

症状:初期症状は、食欲不振や軽い嘔吐、下痢(水のような便)です。長期間の下痢が続くと血便や脱水症状が起こります。比較的、致死率が低い感染症ではありますが子犬が感染した場合、症状がひどく現れます。またパルボウイルス感染症と併発した場合、症状が重症化して死に至ることのある感染症です。

予防:犬コロナウイルス感染症生ワクチンが含まれる、6種混合ワクチン以降を接種することで予防が可能です。

犬レプトスピラ感染症

感染原:レプトスピラ感染症を保菌するネズミなどの野生哺乳動物の排泄物や、菌に汚染された土壌や水が口や皮膚に接触することで感染します。また人にも感染する人獣共通の感染症です。

症状:初期症状は、発熱、食欲不振、嘔吐などの症状が現れ、重症化すると酷い血便、口腔粘膜の腫瘍や黄疸が現れ、同時に点状の出血が見られます。その後、腎不全や肝不全が起こり、治療が遅れれば死に至ることがある感染症です。比較的、寒い地域では感染例が少なく、主に暖かい地域、四国や沖縄、九州での感染報告が多いです。

予防:犬レプトスピラ感染症ワクチンが含まれる、7種混合ワクチン以降を接種することで予防が可能です。(住む地域により感染しやすいレプトスピラ菌が違うので地域に合った混合ワクチンを接種して下さい。)

コアワクチンとノンコアワクチンの違い

混合ワクチンは「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の2種類に分類することができます。
効果を発揮する病原体毎にどちらか決まっているため、飼い主様としてはどちらかを気にする必要はあまりありませんが、体内に抗体が残る期間が異なるとも言われているため、

コアワクチン

伝染力が極めて強いものや致死率が高い感染症で、全ての犬や猫に対して予防接種が推奨されているワクチンを指します。ジステンパーウイルス、パルボウイルス、アデノウイルス、狂犬病ウイルスが該当します。
なお、研究によって体内に3年ほど抗体が残る場合があると判明しました。ただし、コアワクチンである狂犬病予防注射は、法律で毎年の予防接種が義務化されているのでご注意ください。

ノンコアワクチン

全ての地域で感染の恐れがある訳ではなく、地域的に流行している感染症や、犬や飼い主のライフスタイルに合わせて接種が推奨されているワクチンを指します。犬パラインフルエンザウイルス、レプトスピラ症が該当します。
体内に抗体が残る期間が短く、1年ごとに接種しなおす必要があります。

ワクチンはどの時期に接種しに行くといいの?

愛犬が元気な時にワクチンを始めましょう。また目安期間は、ワクチンを開始した時期と接種したワクチンの種類で間隔や回数が変わります。

1回目のワクチン

母犬から産まれて、初乳により子犬に免疫が渡ることを「移行抗体」といいます。この抗体が切れる前に一度目のワクチンを接種します。

接種期間:生後60日(約2ヶ月)で1回です。この時、ブリーダーの多くが5種か6種混合ワクチンを子犬に接種させています。その為、子犬を飼われる飼い主様は、2回目からワクチン接種に関わることになります。

2回目のワクチン

一回目のワクチン接種から一カ月後です。

接種期間:生後90日(約3か月)で1回です。ブリーダーから飼われた方は、ブリーダーが行ったワクチンと同じものを接種させる方がいいでしょう。ペットショップで飼われた場合は、子犬の体調に合わせて獣医師の方とワクチンの種類を選択してください。

3回目のワクチン

2回目のワクチン接種から1年後に接種させます。

接種期間:1歳と3ヶ月あたりに1回が目安となります。

4回目以降のワクチン

3回目のワクチンから1年毎です。
(動物病院の方針によってはコアワクチンは3年毎の場合もあります)

接種期間:基本的には1年に1回の接種が推奨されてきましたが、最近ではコアワクチンは体内に3年間は抗体が残る場合があるという研究結果が出たため、3年に1回の接種でも良いという見解があります。
ただし、ノンコアワクチンはおよそ1年で効果が弱まってしまうため年に1回の接種が必要で、コアワクチンに関しても犬種差や個体差がありますので、3年の間隔を開けても良いかは定期的に抗体検査を受けて調べてもらうことが必須となります。

なお、妊娠中や体調不良、数日以内に旅行が控えている場合、消化器官に寄生虫がいる場合、他の病気の治療をしている場合などは、愛犬に負担をかけてしまうことになりますので、愛犬の体調を考慮し獣医師の方と相談しながら日にちを決めて下さい。

犬のワクチンってどのくらいの料金がかかるの?

接種するワクチンにより料金が変わりますが、平均的な金額を以下にまとめました。

義務『狂犬病ワクチン』 :3000円~4000円
任意『5種混合ワクチン』:5000円~6000円
任意『6種混合ワクチン』:6500円~7000円
任意『7種混合ワクチン』:7000円~8000円
任意『8種混合ワクチン』:8000円~9000円
任意『9種混合ワクチン』:8000円~9500円
任意『10種混合ワクチン・11種混合ワクチン』:9000円~10000円前後

価格の目安としては、ワクチン1種類ごとにつき、1000円程と考えていいでしょう。また動物病院によって金額が前後するので正確な価格が知りたい場合は、かかりつけの動物病院に電話で問い合わせてみてください。

まとめ

ワクチンには狂犬病のワクチンのように義務付けられたものと、任意のワクチンがあります。任意のものは全10種類ありましたが、多ければ多いほど病気から愛犬を守れる半面、愛犬の体質やその日の体調によっては副作用の心配が出てしまいます。

ワクチン接種を受けるにあたってまず大切なことは、愛犬が元気な日を選ぶ事です。どの混合ワクチンを選んだら良いのかという結論としては基本、愛犬の命に関わる病気を予防できる5種の接種をおすすめします。6種混合ワクチン以降は、飼い主様が住んでいる地域やわんちゃんの年齢によって視野に入れることが愛犬を病気から守ることに繋がります。ワクチンの接種をきちんと行い、愛犬の健康につなげて行って下さいね。

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