愛犬と遊ぶとき、皆さんはどんな遊びをしていますか?ボール人形などのおもちゃを使って遊ぶ事が多いですよね。
しかし、おもちゃを持ってくるのに、なかなか離さない、渡さないわんちゃんに困っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。わんちゃんは決して悪気があって離さないのではありません。
わんちゃんの心情を知って、正しいやり方でおもちゃを離してもらえるようにしましょう。
わんちゃんが犬用おもちゃを離さない心理
小さなお子さんがおもちゃを取られることを嫌がるように、わんちゃんもおもちゃを取られてしまうと、「もうお終い!?まだまだ遊びたい!おもちゃを取られたくない!」という心理が働き、飼い主さんと遊びたいがために、おもちゃを離してくれなくなります。
また逆に、離してくれないからといって無理に取り上げてしまうのを続けていると、それを「楽しい」と学習して、わんちゃんがおもちゃをはなしてくれなくなることもあります。このような事がよく起こるのは、飼い主さんとのコミュニケーションが上手く取れていない場合が多いです。
わんちゃんは元々、主従関係のある群れで暮らしており、リーダーに従う形で生活していました。そのため、自分の家族の中でも、日々の暮らしの中で自然と上下関係を作ります。この上下関係の中で飼い主さんがわんちゃんより下の立場の場合、いくら「離せ」「ダメ」などの言葉をかけても、わんちゃんは自分より上の立場の存在にしか言う事を聞きません。飼い主さんの言葉は無視して自分の都合を通そうとしてしまうのです。
このような事にならないようにまずは、わんちゃんに自分の方が上であるという事を教えましょう。普段のお散歩で、わんちゃんにリードを引っ張られていませんか?人間の椅子には飼い主さんよりわんちゃんの方が先に座っていませんか?扉から出入りするとき、わんちゃんの方が先に部屋に入っていませんか?これらは、わんちゃんに飼い主さんが下に見られている可能性が高い行動です。可愛いからといってこれらを放置せず、まずは飼い主さんが何事も先に行うようにして、しっかりと上下関係を作っていきましょう。
どうしてもおもちゃを離さない!そんな時は?
離してくれない物がボール等のおもちゃであれば良いのですが、これが道端に落ちていた石や危ないもの、他の人のものであったら大変な事になります。わんちゃんが咥えたものを離してくれるようトレーニングをするのはとても重要な事なのです。
ではどうすればスムーズに離してくれるようになるのか?そのしつけ方法をご紹介します。
まず、普段あまり遊ばない、わんちゃんにとって執着心が少ないおもちゃを床に置いておきましょう。わんちゃんがおもちゃを咥えたら、すぐに「離せ」と声をかけます。この「離せ」という単語をわんちゃんに覚えさせる為、はっきりと素早く伝える事が重要です。もちろん最初は、わんちゃんはおもちゃを離さないでしょう。
ここでとっておきの大好物の登場です。わんちゃんの大好きなおやつを、飼い主さんの手のひらに用意します。わんちゃんはビックリ!おもちゃの事など忘れて、すぐおやつに飛びつきます。おもちゃを離しておやつを食べたら、飼い主さんはわんちゃんを褒めてあげましょう。大げさにたっぷり褒めてあげる事がポイントです。
わんちゃんは最初はなぜ褒められたのか、おやつをくれたのか理解できませんが、根気よくこの「離せ」→ご褒美→褒める方法を続けていくうちに、徐々に「おもちゃを離したからおやつをくれた、飼い主さんが褒めてくれた」→「おもちゃを離すと良い事(ご褒美)がある」と解釈していきます。
次は、わんちゃんがお気に入りのおもちゃ=執着心が強いおもちゃで同じ方法を行います。ここでわんちゃんが「離せ」の声掛けのみで離してくれたら、このトレーニングは成功です。またたっぷりと褒めてあげましょう。
しかし、執着心の強いおもちゃだとどうしても離してくれない事があります。これは「手放したくない」というわんちゃんのメカニズムなので、わがままを言っているわけではありません。まずはそれを理解し、焦らず寛容的になりましょう。飼い主さんがイライラしているとわんちゃんはそれを読み取り、トレーニングが上手くいかなくなるので要注意です。しかし、わんちゃんがどうしても離してくれない場合は、多少強引に取り上げても大丈夫です。その代わりすぐご褒美のおやつを与え、わんちゃんを褒めてあげましょう。おもちゃを取り上げられても、他に「楽しい事」があると覚えさせるのです。これも繰り返しトレーニングする事によって執着心は薄れるので、最終的におやつの量を減らし、おやつが無くてもわんちゃんが離してくれるようになるまで続けます。もちろん、ご褒美として毎回大げさに褒めてあげる事は忘れないようにしましょう。
この「執着心」を無くさせるしつけは、普段の日常生活においてとても重要な事です。トレーニングを行わず放置したまま、いざという時に無理に取り上げたりすると、飼い主さんに噛みついたり敵対心を抱いたりするようになります。これでは他のしつけを行う事すら難しくなり、飼い主さんとの主従関係が崩れてしまいます。
執着心=わんちゃんにとって大事な物を取り上げられたくない心理ですので、「無理に取り上げられたりしない、取り上げられても別の楽しいことが待っている」と覚えさせる事が大切なのです。
おもちゃを離さないときの「表情」から心情を読み取りましょう!
楽しくわんちゃんとボール遊びをしている時に、急にわんちゃんが唸ったりしてびっくりした事はありませんか?これはわんちゃんが遊びに夢中になり、興奮している状態です。「楽しいから」離さないのか、「怒っているから」離さないのか、わんちゃんの表情をよく観察してみましょう。鼻にしわを寄せ、目が吊り上がっていたりすると怒っている可能性が高いので、注意が必要です。この状態のまま遊びを続けてしまうと、「離せ」のトレーニングをしていても興奮しきったわんちゃんは言う事を聞いてくれなくなるので、まずは遊びを中断しましょう。
ボールを咥えて唸りだし、離してくれないときに、大きな声で「痛い!」や「アウチ!」と叫び、遊びを止めます。わんちゃんはここで一旦落ち着きますので、冷静さを取り戻すまで待ってあげましょう。落ち着いたらまた一緒に遊んであげてください。
あくまで遊びを行う・中断するのは主の飼い主さんである事を教えましょう。楽しく遊ぶ中でも、きちんとメリハリを付けることで飼い主さんとわんちゃんの信頼関係も良くなっていきます。
まとめ
おもちゃをなかなか離してくれないのは、わんちゃんなりにきちんとした理由があります。
「この子は全然言う事をきかない」と感じる飼い主さんもいらっしゃいますが、それは全く違います。人間のお子さんにしつけをすれば言う事を聞いてくれるように、わんちゃんもしっかりトレーニングをすれば飼い主さんの言う事を聞いてくれるように必ずなります。
そのためには、まずは飼い主さんがわんちゃんとの主従関係をしっかり築き、わんちゃんの心情を知る必要があります。なぜ離してくれないのか?なぜ渡してくれないのか?その理由を理解しトレーニングをしてあげる事も、飼い主さんの大切な義務です。しつけと遊びを交えたメリハリのある日常を送り、信頼関係を築いていきましょう。